金属加工の現場において避けられない錆び対策。
黒染め・三価クロムメッキ・防錆油など代表的な防錆の技法とISO9001/IATF16949対応の評価試験などを現役メーカーが現場視点で詳しく解説していきます。
錆びは水と酸素がある常温環境で鉄鋼表面に生成する水酸化物のことで、製造現場でも表面欠陥等の原因となる厄介なものです。
金属製品において錆びの発生は非常に身近な問題であるとともに大きな品質管理上のリスクでもあり、その生成機構から水気、湿度は大敵です。ここでは錆びを防ぎ、品質を守る為の管理の重要性について書いていきたいと思います。
適度な錆びは金属表面を保護しますが、激しい錆びは金属表面を劣化させ製品の機能や寿命を著しく損なってしまいます。それがあまりに激しいと腐食に繋がります。
錆びについてはJIS規格にあるように公的機関から認められた方法で試験を行い、その結果で問題がなければ製品としての品質を実証することができ、顧客からのクレーム防止に繋がります。
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素地のままでは錆びや腐食を防いだり、品質を補償することができない場合には防食被覆やメッキといった”表面処理”が最も身近で効果的な対処法になります。表面処理とは金属表面に何らかの処理を施して、表面の性質を母材以上に優れたものにする処理をいいます。
金属加工を行う製造業においてよく用いられる表面処理として黒染めや三価クロムメッキといっためっき処理があります。
”黒染め”は黒染めメッキとも呼ばれ、金属表面に黒錆と呼ばれる四三酸化鉄の酸化被膜を作ることで表面をめっきする表面処理です。特に寸法精度を維持したい部品や価格を抑えたい場合に良く用いられます。
”三価クロムメッキ”は、三価クロムを主成分とするメッキ液で直接金属をメッキする方法です。従来の六価クロムメッキの代替として注目されています。
六価クロムは毒性が高いため、環境規制が厳しくなっていますが、三価クロムはより安全で、耐食性や外観も優れています。
似たものに”三価クロメート”があり、これは亜鉛メッキ後に、三価クロムを主成分とする溶液に浸漬して化成処理を行う方法です。
加工後や加工途中の製品にも錆びの防止は重要です。そこで主に用いられるのが防錆油や気化性防錆剤です。
”防錆油”とは、金属製品の表面に塗布して錆びや腐食を防ぐための油のことです。
一方で”気化性防錆剤”とは、固体や液体に関わらず、常温で気化する性質を持つ金属腐食抑制剤のことで、気化した成分が金属表面に吸着し、目に見えない防錆被膜を形成することで、錆の発生を防ぎます。
錆びは製品の品質保証に大きく関わるため、直接的ではなくとも品質の一部として国際規格においても製品やサービスの品質向上に対処が必要となります。
また、金属製品の錆びに対する品質評価試験には塩水噴霧試験やクロスカット試験といったものが存在します。
ISO 9001/IATF 16949は共にどちらも品質マネジメントシステムに関する国際規格ですが、適用範囲と要求事項に違いがあります。
錆びに対してもそれらを満たすために対処が必要な場合は対処することで品質強化に繋がります。
塩水噴霧試験とクロスカット試験は、主に塗装やコーティングの耐食性や密着性を評価するために行われる試験です。
塩水噴霧試験は、塩水環境を再現し、材料の腐食に対する抵抗力を評価します。クロスカット試験は、塗装膜に碁盤目状の切り込みを入れ、その密着性を評価します。
本コラムでは金属製品の錆びに対する対処法や評価方法について解説しました。
科学的な説明というよりは実際に製品へ施している表面処理に焦点を当てて簡単に解説しておりますが、製品の品質管理・品質保証の一部としての表面処理に関心を持っていただく一助になれば幸いです。
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参考文献 :
「図解入門 よくわかる 最新金属の基本と仕組み」
発行所:㈱秀和システム 著者:田中 和明