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2025.07.04

金属加工における熱処理とオーステンパーの違いって?その特徴やメリットを比較しながら解説!

金属加工に欠かせない熱処理やオーステンパーの全工程を網羅!焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしの基礎から、高靭性ベイナイトを生む特殊処理オーステンパーの原理を丁寧にご紹介していきます。

歪み低減と寸法精度アップの効果や導入コスト・環境負荷対策まで現役メーカーの視点で解説します。

金属加工における熱処理とオーステンパーとは

工作機械を使用して、鋼などの金属材料を加工するには大きな力を加える必要がありますが、変形した材料(半製品)は元に戻ろうとする力を持ちます。熱処理はそうした金属製品を”加熱冷却”することにより、組織や材質を所定のものにして様々な効果効能を付与します。

熱処理時に金属はオーステナイト、マルテンサイト、パーライト、フェライトなどに組織変態を起こしますが、熱処理は加熱時温度で区別されるのではなく、加熱後の冷やし方によって区別されます。

特に金属製品の重要な要素である”硬さ”は冷却時にどのような”冷却速度”で通過させるかが重要なファクターとなります。

また、鋼は”冷却の仕方”(冷却過程)によりさまざまな組織が生成されます。冷却時の組織を示す方法は大きく分けて恒温変態と連続冷却変態があり、「TTT曲線(恒温変態線図)」、「CCT曲線(連続冷却変態線図)」といった図で対数時間と温度の関係とその際の”生成組織”や”状態”を表しています。

金属加工でお悩みなら東邦発条に相談してみては?

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昭和24年創業の東邦発条は、激動の時代を乗り越え、様々な金属加工製品を世に送り出してきました。

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熱処理の基礎知識:焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしの違い

鋼の熱処理は大きく分けて、変態温度以上に加熱してオーステナイト組織にしてから冷却する「焼きならし」、「焼きなまし」、「焼入れ」と変態温度以下に加熱する「焼きもどし」の計4種類があります。

焼入れ:マルテンサイト化で硬さを得る工程

オーステナイト組織に加熱後、急冷するとフェライトやパーライトへの変態を通らずに、いきなりマルテンサイト化します。

この状態を「焼きが入る」といい、「焼入れ」の基本となります。焼入れすることで硬質化、強度の向上、耐食性の向上、疲労限度の上昇といった機能を得ますが、そのままでは脆さを露呈します。

焼戻し:焼き戻し温度帯で再加熱し、靭性を回復させる

焼入れた鋼のマルテンサイト組織の脆さを改善するため、焼き戻し温度まで再び加熱し、靭性を付与し、一方で硬さを減少させる熱処理を「焼き戻し」といいます。

加熱時に200℃以上とする「高温焼き戻し」と200℃以下とする「低温焼き戻し」があり、低温焼き戻しでは比較的硬度を維持することができるといった特徴があります。

ばね製品の加工によく用いられるのが「テンパー」と呼ばれる焼き戻し処理の一種で、プレスなどで加工後に施すことで、製品の内部応力を除去し、強度や弾性限度を向上させることができます。

焼なまし/焼ならし:加工性と組織均一化を両立

どちらも材質の微調整よく使われる処理方法です。「焼きなまし(アニーリング)」は鋼の”結晶組織の調整”、加工や焼入れによる”内部ひずみの除去”などを目的とする熱処理です。「焼きならし(ノルマライジング)」はオーステナイト組織にまで温度を上げたあと空冷する操作のことをいいます。

特殊な効果を付与する様々な特殊熱処理

熱処理の途中で処理温度を一定もしくは特殊温度パターンに材料を保定することにより、特殊な熱処理効果が得られる「特殊熱処理」という処理方法が存在します。通常の焼入れ・焼き戻し処理を施した材料と比較しても著しく材質を改善できます。種類として「オーステンパー」、「マルテンパー」などがあります。

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オーステンパー(等温変態焼処理)の原理とフロー

オーステンパーとは一定の温度パターンに材料を保定するオーステナイトの等温変態熱処理のことで、最終的にベイナイトを生成することを目的に行う特殊熱処理の一種です。

オーステナイトからベイナイトへの変態と温度の保持について

等温変態熱処理ではTTT曲線でわかるように、どの温度で一定(恒温)にするかで最終的に出現する組織が大きく変わります。オーステナイト化した鋼をベイナイトが出現する温度まで冷却して下げ、その温度で一定時間保持することで完全にベイナイト化させます。

ソルトバス急冷と温度管理

オーステンパーではベイナイト組織を得るための冷却には塩浴(ソルトバス)を用いることが多いです。塩浴にて一定時間をその温度で保持することで等温変態処理を行います。東邦発条で使用する炉もソルトバスが使われています。

焼戻し不要で高靭性を実現するメカニズム

オーステンパーでは、主にソルトバスなどで急冷してからの温度保持により、ベイナイト組織とすることができるため、通常の焼入れ品に対して行う「焼き戻し」のような処理を必要としません。

オーステンパーと従来焼入れの違い

一番の違いは生成する組織です。ここではその組織による違いが生み出す様々な違いについて説明します。

歪み低減・寸法精度:加工後の仕上げ工数を削減

「焼入れ」によってマルテンサイト化した鋼は硬度が高くて脆いため、焼き戻しが必須の工程になりますが、オーステンパーではベイナイト組織が得られるため、焼き戻しが不要という特徴があります。また、オーステンパーでは変態の過程で歪みが生じ難く、ベイナイトとなった鋼は高い強度と靭性、耐摩耗性や耐酸化性を持つため、寸法精度にも大きく寄与すると考えられます。

硬さと靭性のバランスの最適化

オーステンパーで得られるベイナイトはマルテンサイトと比較して、硬さに対しての靭性が高い傾向にあります。

設備コスト・環境負荷など導入時の注意点

オーステンパーは、複数の工程を一つにまとめて行う処理となり、工作機械などと比較しても大きな設備(炉)が必要になります。設置スペースはもちろん、加熱するためには電力やガスなど、大きなエネルギーが必要となり、環境問題に配慮することはもちろん、設備費用も運用するためのサイクルコストも決して安くはありません。

また、炉から火を落とすと再加熱に大きなエネルギーが必要となるため、起動と停止を頻繁に行うことは生産性を大きく落とすことになります。故に一定の仕事(処理量)を確保し続ける必要があるため、運用を開始するには大きなリスクとなり、導入は慎重に行う必要があります。

よくある質問(FAQ):オーステンパーの疑問を解決

ここではオーステンパーを行う際に起こりえる質問をまとめました。

「焼戻しが不要なのは本当?」

「焼入れ」で得られるマルテンサイトと違い、ベイナイトは硬度に対して高い靭性を持つため、一般的に「焼き戻し」を行うことはありません。

「ソルトバスとオイルバスの違いは?」

冷却速度による違いがあることに加え、ソルトバスは温度調整がしやすいためオイルなどより高温で冷却することが可能という特徴があります。一方で、ソルトバスは製品についたソルトの除去が必須であるため、取り回しではデメリットもあります。

まとめ

金属加工製品には求められる機能に応じた様々な熱処理があることがご理解いただけたと思います。熱処理には大きな熱エネルギーが必要なため、設備としてのサイズも大きく、運用コストも大きくなります。熱処理を専門に行う業者も存在しますが、環境さえ整えられれば内製であっても成果は得られるでしょう。

東邦発条では金型部品の「焼入れ」、ばね製品への「テンパー」、複雑な構造部品への「オーステンパー」といった具合にそれぞれ必要な熱処理を内製化して運用しております。成形加工から熱処理まで一貫して行うことでコスト面で優位性が出せるのも弊社の強みであります。熱処理を含む量産に向けた試作など様々なご相談を承ります!

WEB見積もりは即時対応可能なので、お気軽にお申し込みください。

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参考文献 :
「図解入門 よくわかる 最新金属の基本と仕組み」
発行所:㈱秀和システム 著者:田中 和明

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