「薄板ばね」は金属板を加工したばね製品です。荷重が加わると変形しながらエネルギーを蓄えるシンプルだが高性能な機械要素でもあります。
私たち、東邦発条の薄板ばねは、電池金具やワッシャーなど日用品向けから、多彩な自動車の精密部品まで幅広く使用されています。
本記事ではそんな薄板ばねの構造から、種類や作り方までをわかりやすく解説していきます。
「金属加工で金型やパーツを作りたいけど、何を聞けばいいかわからない…「納期や価格はどうなんだろう…」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そのお悩み、私たち東邦発条に相談してみませんか?
昭和24年創業の東邦発条は、激動の時代を乗り越え、様々な金属加工製品を世に送り出してきました。
お取引先様も大手自動車メーカー様から町工場のお客様まで幅広いクライアントに対応してきた実績もあります。
\ぜひ、1分で完了する無料のオンラインフォームからお問い合わせください。/
「ばね」とは単直にいえば「たわみなどの変形を利用して蓄えられたエネルギーを利用する機械要素」になります。”ばね”や”ねじ”は長い人類史の中でも最もプリミティブな機械要素の代表格でもあります。
そんな”ばね”には多種多様な種類がありますが、大きくは”巻きばね”、”板ばね”、”棒ばね”といくつかの種類に分けることができます。
多くの場合、イメージされるのは線状の金属をらせん状に巻かれた”巻きばね”の方かと思います。
巻きばねは荷重(負荷)がかかっていない時は自然長であり、荷重がかかると収縮してエネルギーを蓄える性質を持ちます。
一方で板ばねは板状の金属を加工して作る”板状のばね”です。巻ばねと同じように荷重がかかり、しなったり変形することでエネルギーを蓄えます。
一般的には板厚20mm程度までのものを”薄い板状のばね”つまり”薄板ばね”と呼ぶことが多いかと思います。
東邦発条でもおよそ20mm程度までの製品を数多く取り扱っております。
薄板ばねは電化製品の電池金具、ネジのワッシャーや皿ばねといった多くの人が一度は目にしたことのある日用品向けのものから、自動車内部に使われる重要部品のように精密な荷重管理が求められるものまで多種多様です。
このように”薄板ばね”はシンプルな機械要素でありながらその有用性は高く、人々の生活を支える様々な場面で活躍しています。
ばね製品には多くの場合で「鋼材」が使われますが、大きく分けると「普通鋼」と「特殊鋼」があります。
2つの大きな違いは元素にあり、普通鋼が炭素(C)、けい素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)の5大要素のみで作られているのに対し、特殊鋼はその他の元素が含まれており、特殊な性質を示す材料になります。
そのうちばねの製造に欠かせないのが”特殊鋼”であり、中でも「ばね鋼」が薄板ばねの製造に多く用いられます。
ばね鋼は弾性値や疲労強度などで高い特性を持っています。また、熱処理によって強度を引き上げるため、炭素含有量が0.5%程度からそれ以上と比較的高くなっているのも特徴です。
このように薄板ばねには特殊な材料が使用されており、取り扱う上でも多くの知見や経験が求められます。
製品の原材料である鋼材は製品品質に直結します。
現在まで特殊鋼を取り扱う国内メーカーにも多くの変化、淘汰が起きており、製品品質の維持、向上のために材料をよく理解し、適切に取り扱うことは非常に重要です。
ばね製品はプリミティブな機械要素であることからもその用途は多種多様であり、古くから様々な場面で人々の生活を支えてきました。
弾性力があり、復元するという意味では日本最古のばねは”弓”であるともいえます。弓の誕生はおよそ2万年前ともいわれているので当然当時の材質は木材にはなりますが、そのころから弾性力を利用した道具作りが行われていたという事実は感慨深いものがあります。
その後、科学の進歩と発展により、製鉄技術を獲得するとその素材は金属へと変わっていきます。
我が国に限らず、現代において薄板ばね製品が多く用いられるのは自動車業界向けの製品です。自動車には約3万点の部品、パーツが用いられています。
ばね製品だけでいえばエンジン周りに弁ばねやブラシバネ、サスペンションに使われるトーションバー、ブレーキ周りに使われる板ばねなど、内燃機関、配線、チューブ、トランスミッションなど自動車のさまざまな部位に広く使われています。
自動車以外ではコンピュータやスマートフォンといった電子機器にも小さくて、精密なばねが多く使われており、工作機械の進歩によって難しい形状、大きさ、荷重など厳しい要件を満たすさまざまなばね製品が今も生まれ続けています。
薄板ばねは、自動車を中心に様々な製品・用途に広く使用されています。
ここではその用途と特徴を薄板ばねの性質に着目して説明します。
ばねとは冒頭でも触れたように「機械要素」であり、言い換えるとその弾性力を利用して「エネルギーを蓄える性質」と「蓄えたエネルギーを放出する性質」の2つの性質を持っていると言えます。
それぞれの性質を形状変化の過程から説明すると、
まず、ばねに荷重をかけるとその「エネルギーを蓄える性質」から、変形することで元に戻ろうとするエネルギーが蓄えられていきます。
変形したばねは「蓄えたエネルギーを放出する性質」によって自然長(形状)に戻る過程でエネルギーを放出していきます。
このようにばね製品は”掛けた力に対して反発する力を利用した用途”で用いられます。
例えば、一時的に強い衝撃(力)が加えられるとばねは変形しエネルギーを蓄えますが、同時に戻ろうとする力を発揮します。このような性質を利用して衝撃を和らげるサスペンションのようなばね製品は「緩衝の用途」で用いられています。
”ワッシャー”のようなばね製品ではボルトネジなどを締める際に使用され、ボルトネジとの摩擦係数を一定にすることで「状態を安定させる用途」で用いられていると言えます。
ただし、この例ではボルトネジの特性との兼ね合いで、その関係性や構造から効果が生まれているともいえます。
このように構造部品として薄板ばねが用いられているケースとしては電化製品のスイッチ用、自動車のシフトレバー用、などがあり、”操作することで状態を変化させてそこで固定することもできる”という少々複雑な用途でも用いられています。
状態を変化させる用途については前項でも触れましたが、似た用途の製品では”クリップ”があげられます。ばね性を利用したクリップは”ものを固定しつつも、脱着を容易にする”という「状態の仮固定の用途」に適しています。
紙を挟み込んでまとめておける「ダブルクリップ」といった商品はこういった用途で用いられる薄板ばねの最たる例と言えるでしょう。
また、缶電池を取り付ける箇所に付いている「電池ばね」もその一つです。薄板ばねの特性を利用して、電池の挿入時には電池を押し込むことで薄板ばねを変形させ、その反発する力を利用して電池を仮固定しますが、電池交換の際には簡単に取り外すことができます。
このように薄板ばねはエネルギーを蓄えて放出するといったシンプルな性質で、それを用いる人の発想や工夫によって様々な用途に用いられ、製品としてあらゆる場面で役立てられています。
「金属加工で金型やパーツを作りたいけど、何を聞けばいいかわからない…「納期や価格はどうなんだろう…」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そのお悩み、私たち東邦発条に相談してみませんか?
昭和24年創業の東邦発条は、激動の時代を乗り越え、様々な金属加工製品を世に送り出してきました。
お取引先様も大手自動車メーカーサプライヤー様から町工場のお客様まで幅広いクライアントに対応してきた実績もあります。
\ぜひ、1分で完了する無料のオンラインフォームからお問い合わせください。/
巻バネでは多くの場合でコイリングマシンといった巻ばね製造に特化した専用の機械を使って作られるのに対して、薄板ばねは主にプレスマシンやフォーミングマシンを使って作られます。
このように薄板ばねは大雑把に言えばその他の金属加工製品と同じような加工法が用いられますが、材料の選定、加工形状、後処理などによってばねとしての機能を付与することで薄板ばね製品となっていきます。
量産ではまず金型を製作することが一般的で、その金型を用いて”塑性加工”することで製品を形作っていきます。
金型をプレスマシンなどの機械に取り付けて、パンチとダイで材料を挟み込むことで切断します。
製品の断面形状に応じて、V曲げ、U曲げ、L曲げなどその曲げ形状によって様々な曲げ加工が存在します。
金型を用いた塑性加工により製品が形作られたあとに熱処理を行う場合があります。用いられる材料、製品の使用などによって行う処理も様々です。特に内部応力の除去を目的とした通常テンパー処理はばね製品に多く用いられます。その他には組織の変化を伴うような特殊な熱処理も存在します。東邦発条では特殊鋼製品のオーステンパー処理も可能となっています。
加工を経た製品の表面には塑性加工によるバリや油汚れの付着、熱処理による酸化被膜の表出など様々な表面変化が起こります。そのような加工の後処理として行うのが表面処理です。
バリなどを除去し表面を滑らかにする「バレル研磨」や防錆やキズ防止を目的とした「めっき処理」、油や汚れを除去する「脱脂洗浄」などがあります。
Q:薄板ばねの特徴、特性はどのようなものですか?
A:「ばね」とは「変形を利用して蓄えられたエネルギーを利用する機械要素」で薄い板状のばねが「薄板ばね」になります。
Q:薄板ばねの材料にはどんな材料が用いられますか?
A:加工によってどのようにばね性を付与するのかにもよりますが、多くの場合、特殊鋼が使われます。その中でも”ばね鋼”が広く用いられています。
Q:薄板ばねはどのように作るのですか?
A:使用する機械や工法によって違いはありますが、一般的には板状の材料(帯鋼)を金型を用いた塑性加工により成形します。その後、熱処理、表面処理などを施すことで薄板ばね製品となっていきます。
Q:薄板ばねを製作するには資格が必要ですか?
A:「金属ばね製造技能士」といった国家資格がありますが、資格がないと製造に携われないというわけではありません。実際の業務では使用する道具や設備の練度といった経験も重要になります。
このように薄板ばねには様々な仕様と用途があり、その製造方法にも複数の工程が存在します。
弊社で扱う薄板ばねという製品のことを少しでも理解していただき、より身近に感じていただけたら幸いです。
東邦発条は幅広いお客様に対応した金属加工や複雑なプレス加工の技術を持った企業です。
他社様ではご対応を断られたご依頼でも、真摯に向き合い、解決策を導いていきます。
WEB見積もりは即時対応可能なので、お気軽にお申し込みください。
参考文献 :
蒲 久男『絵とき「ばね」基礎のきそ』日刊工業新聞社
一柳朋紀『鉄鋼業界大研究[新版]』(株)産学社